はじめよう固体の科学

電池、磁石、半導体など固体にまつわる話をします

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貴ガスがイオンになる?:驚きの価数を示す物質たち

元素によってとりうる価数は異なり、大多数の化合物中では元素の価数は特定の値になります.しかし、特殊な状況を作り出せば元素の特性も大きく変わります.環境を整えれば、アルカリ金属だってアニオンになるし、貴ガスだってイオンを形成するのです.

発光ダイオード(LED):人類の到達した第四の光源

第四の明かりである「発光ダイオード(LED)」が普及したのは最近になってからのような印象ですが、その歴史は意外に古く、20世紀前半にはLEDの元型が発明されています.LEDは寿命が長く、低消費電力で、耐衝撃性に優れ、大量生産に適しているという多彩なメ…

ダイオード:電子の「一方通行」を実現する

エレクトロニクスでは様々な機能のある微小なパーツを組み合わせて回路を構成します.ダイオードは代表的な電子素子であり整流作用(電流を一方向にしか流さない性質)を示します.ダイオードは、交流を直流に変換するコンバータ、電流の逆流防止、過電圧か…

ホイスラー合金:何にでもなれる万能合金材料

ホイスラー合金と呼ばれる物質は、今日では1000種類を超える組成が報告されています.磁性材料、電子材料、熱電材料として注目される物質も多く、実用化もされています.多様な物性は価電子数という単純な概念によって整理されます.

パイロクロア構造:フラストレーションの宝庫

パイロクロア構造は、化学・物理の両分野で頻繁に顔を出します.特に磁性体としての研究が顕著で、現在もなお物性物理の中心に位置しています.カギを握るのはパイロクロア格子の存在であり、磁気フラストレーションに起因した様々な物性の舞台となります.

pn接合:電子を使いこなす第一歩

n型とp型の半導体を組み合わせることで全く新しい機能性が生まれます.その機能の一つがpn接合による整流作用です.電流が行きは進めても戻れなくなるため、交流・直流の変換も可能です.

ナノシート:原子を剥がして創る究極の二次元物質

ナノシートとは、ナノスケールかつシート状の物質を意味します.シート状(板状)であるため、厚さがナノメートル(nm)レベルかつ横方向の長さが厚さの数倍から数千倍の大きさを持ちます.ナノシートは究極の二次元材料であり、三次元材料とは大きく異なる…

マンガンは超伝導と相性が悪い?:超伝導を起こす金属と起こさない金属の違いは何か

マンガン(Mn).第四周期の遷移金属であり、マンガン電池や二酸化マンガン(触媒材料)で有名な元素です.周期表前後の元素を含む化合物では超伝導体が知られているにも関わらず、マンガンが電子伝導を担う物質で常圧で超伝導を示す物質は知られていません.

二次元材料:原子一層分、究極の薄さをもつ材料たち

今世紀の偉大な発明として、ナノテクノロジー、情報技術、バイオテクノロジーなどが挙げられます.ナノテクノロジーの中でも2次元ナノ材料は、基礎的にも応用的にも大きな注目を集めています.二次元材料には有機物、生物由来、金属、セラミックスなどの種…

ヒューム-ロザリーの法則:合金が形成するためのルール

金属元素の組み合わせによって「混ざり合うもの」と「混ざり合わないもの」が存在します.William Hume-Rotheryは過去の膨大な実験データを整理し、固溶体が形成するための要因を見出しました.この規則は今日、Hume-Rothery則と呼ばれます.

逆ペロブスカイト(アンチペロブスカイト):カチオンとアニオンが入れ替わったペロブスカイト

ABX3 の組成でA,Bがカチオン、Xがアニオンを担当するのがペロブスカイトなわけですが、逆ペロブスカイトではその役割が入れ替わります.すなわち、Na3OClのように、Xにカチオン種、A,Bにアニオン種が入ります.ペロブスカイトが多様な機能を示すことから予想…

論文の著者の順番にはどんな意味がある?

論文を書く際には、著者の名前を貢献度に応じて並べることが慣例です.著者の順番を見れば、どの人がどの程度の貢献をしたのかがある程度分かるようになっています.昇進・出世の際には論文数と貢献度が評価の対象となるため、研究者にとって著者の順番は非…