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論文でよく使われるラテン語表現一覧

更新 2024-2-23

英語論文とラテン語

英語の論文を読んでいると、突然明らかに英語ではないアルファベットの略称が出てきて面食らうことがあります.et al. くらいは見慣れたものですが,e.g. や i.e. など数が増えてくると意味を取り違えそうで厄介です.

論文だけではなく、ビジネス文書やニュースでも見かけることがありますが、そもそもこれらは何の略なのでしょうか.どうやらラテン語に由来するもののようです.

本記事では、論文でよく目にする、ラテン語に由来する略語をまとめました.英語の単語で代用が効くものはだんだんと使われなくなってきていますが、未だに至るところで見かける表現もあります.論文を読む際の参考までに.

とてもよく見る

etc.  (et cetera)

意味:「その他」「~ら」など(and so forth.)

「エトセトラ」で意味が通じるくらいなじみのある表現です.

 

i.e.  (id est)

意味:「すなわち」「言うならば」(that is, in essence)

前に出てきた表現を言い換える際に使います.

 

e.g.  (exempli gratia)

意味:「例えば」(for example)

例を挙げる際に使用します.i.e.と混同している人がたまにいます.

 

cf. (confer/conferatur)

意味:「比べてみよ」「参照せよ」(compare with.)

以下の情報を読んで比べてみようって感じですね.

 

vs. (verses)

意味:「対」「~に対して」(against)

日常生活でもおなじみの表現です.

 

et al. (et alii)

意味:「それとその他の人々」(and other people)

その他大勢ってことですね.参考文献リストで山のように見ます.

 

vice versa

意味:「逆にすると」("to change" or "turn around”)

逆もまたしかり,といった内容を扱うときに.かっこいいので使いたくなっちゃう.

 

quasi

意味:「疑似的な」(like-)

非常によく使われる、というか英語に馴染んでいます.本当は違うものだけど、疑似的なものを指すときに用います.

 

in situ

意味:「その場で」(in place or on site)

“その場”観察のように、何か現象が起こっている最中を示す際に用いられます.

実験法の接頭辞として付くことが多いです.in situでないことを示すため、ex situなんて言ったりもすることもあります.

 

in vitro

意味:「試験管内で」(in glass)

主に生物系で、生体内ではないことを示すために用います.

 

in vivo

意味:「生体内で」(within the living)

In vitroとは逆に、生体内であることを示します.

 

curriculum vitae

意味:「履歴書」(the course of one's life)

就活では必須.

 

たまに見る

[sic] (sic erat scriptum)

意味:「このように書かれていた」(thus as it was written.)

いわゆる「原文ママ」ってやつです.

 

Ibid (ibidem)

意味:「同じ個所に」「同じページに」(in the same place.)

直前に述べた文献と同じ場所にあることを示します.

 

ca. (circa)

意味:「おおよそ」(around / approximately,)

主に年代とともに用いて、おおよその値はあっているけど正確ではないことを示します.

 

a priori

意味:「先験的に」「経験する前から」(from the earlier)

経験することなくわかる内容を示します.

 

post priori

意味:「後天的に」「経験した後に」(from the later)

経験しなければわからない内容を示します.

 

ad hoc

意味:「特定の目的のための」「その場限りの」(to this)

前もって計画的に用意されていたわけではなく.急ごしらえで特定の目的のために行うものです.カタカナ語も定着してきました.

 

de facto

意味:「事実上の」(from the fact)

デファクトスタンダードの文脈でよく聞きますね.

 

ほとんど見かけない

viz.  (videlicet)

意味:「すなわち」(namely)

i.e.と似ていますが、あまり見かけません.

 

q.v. (quod vide)

意味:「~を見よ」「参照せよ」(which see)

c.f.と似たような意味ですが、私は見かけたことがありません.

 

s.v. (sub verbo)

意味:「その意味で」(under the word)

辞書や辞典にある特定の項目を引用する際に用います.

見かけたことはありません.

 

Id. / Ead. (Idem / eadem)

意味:「同じ」(the same)

Id. は男性名詞、Ead.は女性名詞だそうです.

直前に述べた文献と同じ作者による文献であることを示します.

 

N.B. (Nota bene)

意味:「注意せよ」「よく読め」(note well)

大事なことを言う前に強調するような感じでしょうか.

 

passim

意味:「あちらこちらで」「いたるところで」(here and there / throughout.)

ある言葉やフレーズがここだけではなく別の箇所でも使われていることを示します.

 

loc. cit. (loco citato)

意味:「示した箇所で」(in the place cited)

直前の引用の内容と同じ文献とページであることを示します.ibid.の方がよく使われます.

loc. cit. (opere citato)

意味:「示した同じ文献で」(in the work cited)

直前の引用の内容と同じ文献であるが同じページではない場合に用います.ibid.の方がよく使われます.

 

inf. / sup.

意味:「下に / 上に」(below / above)

情報が現在の箇所より後または前で説明されていることを示します.

 

per se

意味:「それ自体が」「本質的に」(by itself)

本質的にはそうだけど、実際は...のような文脈で見ることが多いでしょうか.

 

Ad nauseam

意味:「いやになるほど」(to a sickening or excessive degree)

何度も何度もいやになるほどってことですね.論文で見ることはあまりないでしょう.