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Nature系ジャーナルが多すぎるので整理しよう

Nature系ジャーナル

世界には論文誌が山のように存在しますが、その頂点に位置するとされるのが Nature(とScience)です. 圧倒的な伝統と知名度、インパクトファクターを誇り、研究者の目指す頂として名高く、 今日も多くの研究者が徒党を組んで険しい山道に挑んでいます.

そんなNatureですが、姉妹紙や関連雑誌が大量にあることでも知られています. 1869年に創刊されたNatureの姉妹紙として Nature Biotechnology が登場したのは1983年のこと. それ以来、Natureの名を冠する姉妹紙だけでも40誌以上、 関係雑誌を含めると100を超えるとも言われています.

こうなると、「Natureとは何なのか?」という気持ちにもなってきます.

今回は、増えすぎたNature系雑誌を整理し、どのようなものがあるのかをまとめていきます.

Natureジャーナルの種類

  1. フラッグシップ総合誌「Nature」
  2. 専門分野をカバーする Nature Research(Nature姉妹紙)
  3. オープンアクセス誌(Nature Communications、Scientific Reports)
  4. オンライン専用の npj シリーズ(Nature Partner Journals)
  5. レビュー記事を中心とする Nature Reviews シリーズ
  6. 科学データの提供を目的とする Scientific Data

1.フラッグシップ誌「Nature」

Natureは、あらゆるジャーナルの中で最も有名であると言っても過言ではありません. 国際的な週刊総合学術誌として、分野を超えて重要な研究成果を紹介しており、学術界で非常に大きな影響力を持っています.

掲載内容は多岐にわたり、最新の研究論文のほか、レビュー記事、ニュース、意見、書籍、芸術、キャリア関連の記事なども含まれます.

1869年に創刊され、かつては Nature Publishing Group によって発行されていましたが、現在は Springer Nature の一部となっています.

2.Nature Research 系の姉妹紙

Natureの名前を冠する多くの専門誌が「Nature Research ジャーナル」として展開されています. いわゆる Nature姉妹紙 です.

これらはNatureほどの総合性はありませんが、各分野で非常に高い影響力を有し、 ジャーナルによっては本家Natureよりも高いインパクトファクターを持つ場合もあります.

週ごとにオンラインで論文を公開し、月ごとに号を編成(多くは印刷版もあり). 研究論文に加え、レビューや非公式記事も掲載されます.

代表的な誌名一覧:

  • Nature Africa
  • Nature Aging
  • Nature Astronomy
  • Nature Biomedical Engineering
  • Nature Biotechnology
  • Nature Cancer
  • Nature Cardiovascular Research
  • Nature Catalysis
  • Nature Cell Biology
  • Nature Chemical Biology
  • Nature Chemistry
  • Nature Climate Change
  • Nature Computational Science
  • Nature Ecology and Evolution
  • Nature Electronics
  • Nature Energy
  • Nature Food
  • Nature Genetics
  • Nature Geoscience
  • Nature Human Behaviour
  • Nature Immunology
  • Nature India
  • Nature Italy
  • Nature Machine Intelligence
  • Nature Materials
  • Nature Medicine
  • Nature Metabolism
  • Nature Methods
  • Nature Microbiology
  • Nature Nanotechnology
  • Nature Neuroscience
  • Nature Photonics
  • Nature Physics
  • Nature Plants
  • Nature Protocols
  • Nature Structural & Molecular Biology
  • Nature Sustainability
  • Nature Synthesis
  • Nature Water

いや多いな!隅から隅まで学術分野が網羅されていることがわかります. 全体的にバイオ系が多い印象です.

少し異質に見えるのが、Nature Africa、Nature India、Nature Italyといった地域名を冠した誌名です. これらは、特定の研究分野を対象にするのではなく、 その地域で行われた研究や地域特有の課題を発信するための情報誌的な性格を持っており、 従来の査読付き学術誌とは異なる位置づけのようです.なぜイタリア...?

3.オープンアクセス誌:Nature Communications と Scientific Reports

Nature Communications は、科学の各分野のオリジナル研究を掲載するオープンアクセスジャーナルで、 2010年に創刊されました.

効率的な査読と迅速な出版を提供するとされていますが、実際にはそれなりに査読に時間がかかる印象もあります. 掲載が決まると著者が掲載料(約100万円)を支払う仕組みです.Wow!

しばしば「Natureの速報版」と誤解されますが、全く別の雑誌です.

また、Nature Communicationsの姉妹紙として以下のような分野別ジャーナルも登場しています:

Communications 系ジャーナル一覧

  • Communications Biology
  • Communications Chemistry
  • Communications Earth & Environment
  • Communications Engineering
  • Communications Materials
  • Communications Medicine
  • Communications Physics
  • Communications Psychology
  • Communications Sustainability

さらに、Scientific Reports は、2011年に創刊されたオンライン限定のオープンアクセス総合誌です. 掲載数が非常に多く、いわゆるメガジャーナルと呼ばれます.

論文の独自性よりも、科学的に正確で再現性のある研究であることが重視され、 審査基準はやや緩やかです. その分、多くの論文が迅速に掲載される仕組みになっています.

Scientific Reports は「Nature」の名を冠しませんが、 プレスリリースなどで“Nature Scientific Reports”と表記してNature感を出そうとする機関もあります. 惑わされないようにしましょう.

4.Nature Partner Journals(npjシリーズ)

npj(Nature Partner Journals)シリーズは、 Nature Publishing Group が外部のパートナー(研究機関、学会、企業など)と連携して発行する、 オンライン専用のオープンアクセス誌です.

npj シリーズ

  • npj Digital Medicine
  • npj Climate and Atmospheric Science
  • npj Quantum Materials
  • npj Regenerative Medicine
  • など

2025年現在までに65種類以上が刊行されています. Natureの姉妹紙と比べると、インパクトファクターはやや低めですが、 新しい分野やトピックに特化した実験的な試みが多く見られます.

5.Nature Reviewsシリーズ

Nature Publishing Group が刊行する、レビュー専門誌のシリーズです. 原著論文ではなく、各分野の最新の知見や動向を体系的に解説したレビュー記事が中心で、 研究者だけでなく産業界や教育分野でも重宝されます.

レビュー誌は一般にインパクトファクターが非常に高く、引用もされやすい傾向にあります.

Nature Reviews シリーズ

  • Nature Reviews Biodiversity
  • Nature Reviews Bioengineering
  • Nature Reviews Cancer
  • Nature Reviews Cardiology
  • Nature Reviews Chemistry
  • Nature Reviews Clean Technology
  • Nature Reviews Clinical Oncology
  • Nature Reviews Disease Primers
  • Nature Reviews Drug Discovery
  • Nature Reviews Earth & Environment
  • Nature Reviews Electrical Engineering
  • Nature Reviews Endocrinology
  • Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology
  • Nature Reviews Genetics
  • Nature Reviews Immunology
  • Nature Reviews Materials
  • Nature Reviews Methods Primers
  • Nature Reviews Microbiology
  • Nature Reviews Molecular Cell Biology
  • Nature Reviews Nephrology
  • Nature Reviews Neurology
  • Nature Reviews Neuroscience
  • Nature Reviews Physics
  • Nature Reviews Psychology
  • Nature Reviews Rheumatology
  • Nature Reviews Urology

6.Scientific Data

Scientific Dataは、科学的に価値のあるデータセットを掲載することを目的とした査読付きのオープンアクセスジャーナルです.

研究データの再利用を促進し、データを公開した研究者にクレジットを与えることも目指しています. 科学のあらゆる分野が対象であり、データのサイズや研究の規模にかかわらず投稿可能です.

私自身はまだ活用したことはありませんが、今後ますます存在感が増していくジャーナルの一つだと感じます.

まとめ

ここで紹介した論文誌以外にも、Natureという名前こそ入らないもののNature Publishing Groupから出版されている論文誌はまだまだあります.

私が研究を始めた頃と比べても、Nature系ジャーナルの数は確実に増えていると実感します. 「質の高い研究はすべてNature系に取り込んでしまおう」という野望でもあるのでしょうか.