更新 2024-2-23
論文を無料で読みたい
世の中、無料で手に入るものには裏があります.
大学に所属していると無料で学術論文が読めるような気がしてしまいますが、一歩大学から外に出るとそれが幻想に過ぎなかったことを知ります.大学が出版社にお金を払ってくれてたおかげで、我々は論文を読むことができていたんですね.
さて、個人で学術雑誌にアクセスするには、論文ごとに料金を支払う必要があります.
論文ごとに数千円の購読料が必要であり、多くの論文にアクセスする必要がある場合にはとても個人では払いきれません.
一方で、世の中ではオープンアクセス化の流れが生まれており、無料で読むことのできる論文も増えています.
Nature Communications をはじめとした完全オープンアクセス誌は、全ての掲載論文を無料で閲覧することが可能です.
また、完全オープンアクセス誌でなくても、読者が無料でアクセスできるような論文もあります.
場合によっては、出版社のライセンスに則り、個人のサイトや機関のウェブページで論文の内容を公開している場合もあります.
しかし、完全オープンアクセス誌を探すのならともかく、一つ一つの論文について個人サイトで無償公開しているかを調べるのは非常に骨が折れますし、非効率この上ありません.
ところが、世の中には便利な手段が多くあり、無料で公開されている論文を見つけることのできるサービスが存在します.
中には法律的にグレーなんじゃないかという手段はありますが、ここでは「合法的」な方法のみを紹介します.
無料で読める論文の探し方
(1)The Open Access Button
The Open Access Buttonは、Google Chromeの拡張機能として提供されており、ボタンひとつで論文の無料公開されているバージョンを探し出してくれます.
必ずしも目的の無料の論文にたどり着くとは限りませんが、閲覧が可能な論文数は年々増加傾向にあります.
使用方法
1.Open Access Button - Chrome ウェブストア にアクセスします.
2.「Add to Chrome」のボタンをクリックし、Open Access Buttonの拡張機能をインストールします.
3.学術誌の論文ダウンロードページで論文をダウンロードできなかった時、Chrome右上にある拡張機能のうちOpen Access Buttonをクリックします.
・Chromeを使用していない場合、オンラインでも使用できます.https://openaccessbutton.org/
・もし無料で論文にアクセスできない場合は、リクエストを送ることができます.
(2)Unpaywall
Unpaywallも、Google Chromeの拡張機能として提供されており、ボタンひとつで簡単にアクセスが可能です.非常に使いやすく、Open Access Buttonよりもヒット率が高いように思います.
使用方法
1.Unpaywall にアクセスします.
2.「Add to Chrome」のボタンをクリックし、Unpaywallの拡張機能をインストールします.
3.Unpaywallの拡張機能は自動的に動作し、学術誌の論文ダウンロードページにアクセスするたびに画面の右の方にボタンが表示されます.アクセス可能な論文がある場合は、ボタンが緑色になりますのでクリックすれば論文が即座に表示されます.アクセス可能な論文が見つからなかった場合は、ボタンが灰色のままです.
(3)Google Scholar
Google Scholarは、論文の検索エンジンとしてお馴染みの存在です.Googleと同じ感覚で検索すると目的の論文がヒットします.今回の記事で注目してもらいたいのは、検索結果の右側に表示される部分です.
もし論文の無料版があれば、Google Scholarの各検索結果の右側に小さなリンクが表示されます.
また、「全〇〇バージョン」と書かれている部分をクリックすると様々なリンクで公開されている論文の中から無料で公開されている論文を探せます.
ただし、著作権に違反してアップロードされた論文も一緒に表示されるという話があります.UnpaywallやThe Open Access Buttonは合法版を優先的に表示させてくれるので、そちらを利用するのも手です.
使用方法
1.https://scholar.google.co.jp/schhp?hl=ja にアクセスします.
2.検索ボックスに検索ワードを入れて検索します.
3.検索結果の右側にあるリンクがあればクリックし、無料で公開された論文にアクセスします.
(4)Directory of Open Access Journals
Directory of Open Access Journalsは、オープンアクセス論文誌に特化した検索サイトです.年々収録論文数が増加し、現在では1万を超える学術誌の論文を検索可能です.完全に合法の論文のみが掲載されているので、安心して使用できます.
使用方法
1.Directory of Open Access Journals – DOAJ にアクセスします.
2.検索ボックスに検索ワードを入れて検索します.
3.目的の論文のリンクをクリックしてアクセスします.
(5)ScienceOpen
こちらも25000もの学術誌の中から、無料で公開されている論文を検索可能です.検索オプションが充実しており、著者や出版社から絞り込んで検索ができます.
使用方法
1.About ScienceOpen にアクセスします.
2.検索ボックスに検索ワードを入れて検索します.
3.目的の論文のリンクをクリックしてアクセスします.キーワードだけでなく著者名や論文誌名、出版社名からも検索ができます.
(6)CORE
こちらも無料で公開されている論文を検索可能なデータベースです.
使用方法
1.CORE – Aggregating the world’s open access research papers にアクセスします.
2.検索ボックスに検索ワードを入れて検索します.
3.目的の論文のリンクをクリックしてアクセスします.
まとめ
今まで論文といえば大学にいる専門家だけが読むものとされてきましたが、近年では購読のハードルが急速に下がり一般人でも簡単に最先端の知識にアクセスできるようになっています.当然、全ての論文が閲覧可能なわけではないものの、体感では半数近くの論文が無料で閲覧できるように思います.
今回の記事で紹介したのは「合法的」なものであるので、良い子はグレー(グレーよりのブラック)な手段を用いないようにしましょう.
参考文献
7 Ways to Download Research Papers for Free [100% Working]
5 free ways around the great paywall of academia. #Updated 2019# | Fish Thinkers