物性
ところが、近年の材料探索の進展にともなって、液体と同等あるいはそれ以上のイオン伝導度を示す固体物質が開発されてきました.中でもリチウムイオン電池に用いるリチウムイオン伝導体の進化は著しく、報告された物質の種類も多岐にわたります.しかし、全…
光と物質の相互作用には直線的(一次関数的)なものだけでなく、二次関数的、三次関数的な高次のものが含まれることが知られていました.高次の効果を利用することで波長の異なる光を取り出すことができます.
「硬い」ことは、それ自体に大きな意味を持ちます.人工的に数千万気圧級の圧力を実現しようとしたら、その環境に耐えられる硬さの材料が必要です.
水素発生反応(HER)こそ直接的に水素を製造することが可能な反応です.水素発生の反応効率を高めるために、カソードで用いる電極材料の研究が長年に渡り進展してきました.
今回のテーマは、水の電気分解反応の片割れである酸素発生反応です.最終的に欲しいものは水素であり、酸素は空気中からいくらでも取ってこれます.しかし、酸化反応と還元反応は必ず同時に起こるため、水素発生反応の効率を高めるには酸素発生反応も効率よ…
電池の原理と概要 イオン化傾向と標準電極電位 アノードとカソード、正極と負極、陽極と陰極の違い 様々な電池とその原理 ボルタ電池 ダニエル電池 鉛蓄電池 ルクランシェ電池、マンガン電池、アルカリ電池 ニッケルカドミウム電池 ニッケル水素電池 亜鉛空…
ペロブスカイトは抜群の光特性を示します.さらに、作製が容易なペロブスカイトの特徴と相まって、様々な応用先が見つかることは必然でした.
窒化ガリウムは電子の移動度が大きく、熱安定性が高く、エネルギー効率が高いなどのメリットを併せ持つため、電力変換などのパワーエレクトロニクス分野での利用が広がっています.
コバルトは鉄やマンガンと同じ第四周期の金属元素でありながら、それらとは桁外れに埋蔵量が限られています.これから先も継続してリチウムイオン電池の生産を行うためには、コバルトの使用量を減らすあるいはコバルトの生産量を増やさなくてはなりません.
ナノ結晶が特異な光学的性質を示す要因は粒子サイズの減少による量子サイズ効果であるとされ、このような物理学的性質に着目した時のナノ粒子を量子ドットと呼びます.
ナトリウムは周期表でリチウムのひとつ下に位置することからリチウムと性質が似通っており、一方でリチウムとは比較にならないほど安価です.リチウムをナトリウムに変えることができれば、資源問題から解放され電池を非常に安価に製造できる可能性がありま…
もしリチウム空気電池が実現すれば、空気中に無尽蔵に存在する酸素を利用でき、軽量・安価・安全にも関わらずリチウムイオン電池よりも高いエネルギー密度を有する「究極の電池」となりえます.
人類にはじめて見出されたとされる磁石がマグネタイト(磁鉄鉱)です.マグネタイトはFe3O4 の組成を持ちます.組成中に鉄を豊富に含むことから、金属鉄の原料としても知られます.
ナトリウムは海中に塩として含まれているように資源的に豊富で、リチウムに匹敵する電極電位を示すことから高出力の電池が作成可能です.このような考えのもと生まれたのが、ナトリウムと硫黄を組み合わせた電池であるナトリウム硫黄電池です.
銅酸化物よりも前、高温超伝導体の候補として最も有力視されていた材料が塩化銅 (CuCl)です.高温超伝導体であるかどうかも分からないまま、その後の銅酸化物の発見によって歴史の闇に埋もれてしまいました.
現在、高温超伝導体とは、液体窒素の沸点以上の温度で超伝導を示す物質であるとされます.銅酸化物は長い間、唯一の高温超伝導体でしたが、鉄系超伝導体がこの基準に迫り、水素化物が転移温度の記録を塗り替えました.
固体であってもイオンが流れることのできる物質が存在します.それどころか、物質によっては溶液よりも高いイオン伝導度を示します.このような材料は固体電解質(イオン伝導体、イオン導電体)と呼ばれ、化学センサや燃料電池、最近では全固体電池の材料と…
磁気熱量効果(MCE)は、磁場をかけたり外したりすることで磁性体の温度が可逆的に変化する現象です.この現象を応用することで可能となるのが、磁気冷凍や断熱消磁といった冷却技術です.
「磁気抵抗効果」とは、磁場をかけることで電気抵抗が変化する現象であり、通常は磁界の二乗に比例して電気抵抗が変化します.磁気抵抗効果は、磁気ディスクからの読み出しヘッドや磁気センサーなどに利用されています.
空気電池(金属空気電池)は、既存の電池系を遥かに凌駕する理論エネルギー密度を持ちます.空気中に無限に存在する酸素を利用して電気エネルギーを取り出す事が可能であり、リチウムイオン電池よりも高いエネルギー密度を有し、軽量、安価、かつ高い安全性…
太陽光、炎、白熱電球、蛍光灯を人類は光源として活用してきましたが、ここに発光ダイオード(LED)が新しい光源として加わりました.発光ダイオード自体は20世紀前半に発明されたものですが、当時のLEDは赤色や黄色の光しか発する事ができません.白色光を…
第四の明かりである「発光ダイオード(LED)」が普及したのは最近になってからのような印象ですが、その歴史は意外に古く、20世紀前半にはLEDの元型が発明されています.LEDは寿命が長く、低消費電力で、耐衝撃性に優れ、大量生産に適しているという多彩なメ…
エレクトロニクスでは様々な機能のある微小なパーツを組み合わせて回路を構成します.ダイオードは代表的な電子素子であり整流作用(電流を一方向にしか流さない性質)を示します.ダイオードは、交流を直流に変換するコンバータ、電流の逆流防止、過電圧か…
n型とp型の半導体を組み合わせることで全く新しい機能性が生まれます.その機能の一つがpn接合による整流作用です.電流が行きは進めても戻れなくなるため、交流・直流の変換も可能です.
マンガン(Mn).第四周期の遷移金属であり、マンガン電池や二酸化マンガン(触媒材料)で有名な元素です.周期表前後の元素を含む化合物では超伝導体が知られているにも関わらず、マンガンが電子伝導を担う物質で常圧で超伝導を示す物質は知られていません.
窒化鉄はあらゆる磁石の中で最大の磁力を示し、しかも非常に安価かつ資源的に豊富な鉄と窒素のみから構成されます.しかし、1972年の初報以来、実験の再現性に問題を抱えており、一時は幻の磁石と考えられていました.
食塩水の電気分解からは、主に塩素ガス(Cl2)と水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液(苛性ソーダ)が得られます.化学工業で必須で汎用的な試薬であり、医薬品、洗剤、殺菌剤、除草剤などに使用されます.
強磁性体は磁場に引き付けられ、磁石を引き付けるような性質を持つ物質です.しかし、鉄釘は強磁性体の一種であり磁石に引き付けられますが、鉄釘が鉄釘を引き付けることはありません.とすれば、強磁性体とは一体何なのでしょうか.
水素吸蔵合金は、その名の通り水素の吸蔵が可能な合金材料であり、輸送・貯蔵の簡易さから注目を集めています.材料によっては、自身の体積の1000倍もの水素を吸うことができます.
新しい超伝導体の報告は喜ばしいものであり、多くの物理学者の関心を引きます.しかし、中には“Absence of superconductivity in …”と、超伝導が出ないことが題名で主張している論文があります.超伝導が出ないことの何が面白いのでしょう.「超伝導が出ない…