はじめよう固体の科学

電池、磁石、半導体など固体にまつわる話をします

MENU

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

鉛蓄電池:最初の充電可能な電池

鉛蓄電池は、1859年に発明された、史上初めての充電可能な電池(二次電池)です.発明から150年以上たってなお鉛蓄電池は産業で重要な存在であり、主に自動車用のバッテリーとして利用されています.

ヒ化ニッケル型構造:塩化ナトリウム型構造の親戚

ヒ化ニッケル(NiAs)型構造は、AB の組成で表される二元系物質の多くで見られる結晶構造です.あまり馴染みのない人も多いと思いますが、有名な塩化ナトリウム型構造との関連が深い重要な構造です.

金の陰イオン:金属だって負の電荷をまとう

更新 2024-2-23 金(Gold)とその歴史 黄金は何千年もの間、人類を魅了してきました.古代オリエント,古代中国,古代アメリカなど,地域や文明は違えど,黄金は非常に価値のある物品として,ときに王族や貴族の権力の象徴として扱われてきました.金をめぐ…

VSEPR則(原子価殻電子対反発則):分子の形を決めるものは何か

世の中には様々な分子があり、それぞれ形状が異なります.価電子の反発を考慮することで分子の形状を予測するモデルが 原子価殻電子対反発モデル(VSEPR則)です.

ベガード則:格子定数と組成の関係、それは理論か近似か

固溶体のXRDを測定したとき、各組成のXRDパターンのピーク位置が連続的にずれていくことが知られています.このXRDパターンから格子定数を求め、「ベガード則」によって組成を(簡易的に)見積もることができます.

エリンガム図:金属の単体を得るために必要な情報

エリンガム図は、ある温度と雰囲気を与えたときにどのような化合物が安定に存在するかの手がかりを与えます.多くの情報を引き出せるエリンガム図ですが、見た目があまりに複雑なことが初学者を遠ざける原因となっています.

フロスト図:元素の標準電極電位をもう少し見やすく

フロスト図は、ある酸化数が他の酸化数に比べてどの程度安定であるかを視覚的に分かりやすく示した図です.標準電極電位そのものをプロットしているわけではないものの、安定性の議論をするのに向いています.

ラチマー図:元素の標準電極電位を一枚の図で

酸化されやすい金属もあれば酸化されにくい金属もあります.酸化されやすい金属の中でも、安定な酸化数は金属によって異なります.ラチマー図は、複数の酸化状態を持つ化学種の標準電極電位を表現する方法です.

塩化ナトリウム型構造:最も基本的な二元系構造

更新 2024-2-23 塩化ナトリウム型構造(岩塩型構造、NaCl型構造、NaCl-type structure、rock salt structure) 塩化ナトリウム型構造は、の組成で表される二元系物質の多くに見られる結晶構造であり、三次元空間に原子をチェッカーボード状に並べたような配…

ボルタ電池:単純に見えて実は恐ろしく複雑な電池

ボルタ電池は高校の教科書で題材になっており、亜鉛電極と銅電極が硫酸水溶液に浸った非常にシンプルな構造をしています.ボルタ電池は電池反応の基礎として教わりますが、実際は極めて複雑な反応が起こっています.

最密充填構造:最も単純な原子の敷き詰め方

体育館の床をバスケットボールで埋め尽くすことを考えます.すなわち、球体を二次元平面に敷き詰めることをイメージします.球体をどのように並べれば、空間を埋め尽くすことができるでしょうか.

電池:化学エネルギーから電気エネルギーへの変換

電池とは「化学エネルギーを電気エネルギーに変換する装置」を意味します.電気を化学エネルギーとして貯蔵できる点が画期的であり、携帯性・安全性・保存性に優れます.

超伝導:電気抵抗がゼロな材料

極低温で金属の電気抵抗はゼロに近づく、あるいは無限大に発散すると思われたのですが、そのどちらでもない現象が起きました.ある温度で、突然電気抵抗が「ゼロ」になったのです.「超伝導」の発見です.

学会誌とは:最先端の科学の流れを知るために

学会の年会費と引き換えに月に一回送られてくるのが学会誌です.現在では様々な学会誌がネット上にバックナンバーを無料で公開しています.

負の熱膨張:温めると縮む不思議な材料

固体は温度を上げると膨張します.一方で、世の中には熱膨張が極めて小さい物質が存在します.それどころか、温度を上げると縮む物質まで存在します.常識に反するこのような物質は「負の熱膨張」物質と呼ばれます.

熱膨張:身近な現象も起源は意外と複雑

固体は温度を上げると膨張します.非常に身近な現象であり、日常生活でも熱膨張を実感することがよくあります.なぜ熱膨張は起こるのでしょうか.熱膨張の起源に迫るには物質の結晶構造にまでさかのぼる必要があります.

イオン化傾向と標準電極電位:イオンになりやすさの順番

鉄は錆びやすいのに、金は全く錆びません.「錆びる」とは酸化反応の一種で、「錆びやすい」は「酸化されやすい」と言い換えることができます.このような「酸化のされやすさ」を定量化する方法はないでしょうか.

ケテラーの三角形:その結合、なんの結合?

電気陰性度とは「原子が電子を引き付ける強さの指標」のことでした.電気陰性度を用いて、結合のイオン結合性や共有結合性を視覚的に導出することが可能なのがケテラーの三角形です.

論文でよく使われるラテン語表現一覧

本記事では、論文でよく目にする、ラテン語に由来する略語をまとめました.英語の単語で代用が効くものはだんだんと使われなくなってきていますが、未だに至るところで見かける表現もあります.論文を読む際の参考までに.

強磁性、反強磁性、反磁性、常磁性…:磁性体とその特徴

全ての物質は原子から構成されており電子を含みます.電子はそれ自体が磁気モーメントを持ち、小さな磁石として振る舞います.そして、そのような磁気モーメントが数え切れないほど大量に存在するのが、我々の目にする物質です.

電気陰性度:原子が電子を引っ張る力

「電気陰性度」は原子が電子を引き付ける強さの指標です.電気陰性度を比較することにより、物質の結合性や性質を予測することが可能です.電気陰性度はPaulingによって導入され、その後様々な定義のものが導入されています.