はじめよう固体の科学

電池、磁石、半導体など固体にまつわる話をします

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電気物性

バンドギャップ:デバイス性能の鍵を握る、小さな隙間

ハンドギャップが大きすぎると、電子は移動することができず、電気抵抗の極めて大きい絶縁体となります.バンドギャップが存在しない場合、電子は自由に動き回ることができ、導体(金属)となります.

チタン酸ジルコン酸鉛(PZT):圧電セラミックスの覇者

圧電効果を示す材料の中で、最強クラスのシェアを誇るのがチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)です.優れた圧電特性と良好な温度特性を示すことから、圧電セラミックスの覇者として、有害な鉛を含むにも関わらず、現在も使用され続けています.

ジルコニア(ZrO2)とハフニア(HfO2):古典的かつ最先端の材料

ジルコニアとハフニアは近年注目を集めている誘電材料です.薄膜状態での強誘電性が発見され、強誘電メモリの主役としてスターダムにのし上がろうとしています.

チタン酸カルシウム(CaTiO3):元祖ペロブスカイト、だけどちょっと不遇な物質

現在のところ、CaTiO3に関する研究がそれほど盛り上がっているようには見えません.とはいえ、兄弟分のBaTiO3とSrTiO3が異常すぎるだけで、CaTiO3にも興味深い特性はいくつもあります.

チタン酸ストロンチウム (SrTiO3): 酸化物における万能の天才

SrTiO3は、誘電体からはじまり、超伝導体、熱電材料、触媒、イオン伝導体、半導体、発光材料分野で姿を見かけ、他の物質を形成するための基板としても抜群の有用性を誇ります.

リチウムイオン伝導体:全固体電池を実現するための材料

ところが、近年の材料探索の進展にともなって、液体と同等あるいはそれ以上のイオン伝導度を示す固体物質が開発されてきました.中でもリチウムイオン電池に用いるリチウムイオン伝導体の進化は著しく、報告された物質の種類も多岐にわたります.しかし、全…

窒化ガリウム(GaN):革新的な半導体

窒化ガリウムは電子の移動度が大きく、熱安定性が高く、エネルギー効率が高いなどのメリットを併せ持つため、電力変換などのパワーエレクトロニクス分野での利用が広がっています.

銅酸化物以前に高温超伝導体の候補とされていた物質:CuClとCdS

銅酸化物よりも前、高温超伝導体の候補として最も有力視されていた材料が塩化銅 (CuCl)です.高温超伝導体であるかどうかも分からないまま、その後の銅酸化物の発見によって歴史の闇に埋もれてしまいました.

高温超伝導体:エネルギー革命の可能性を秘めた夢の材料

現在、高温超伝導体とは、液体窒素の沸点以上の温度で超伝導を示す物質であるとされます.銅酸化物は長い間、唯一の高温超伝導体でしたが、鉄系超伝導体がこの基準に迫り、水素化物が転移温度の記録を塗り替えました.

固体電解質(イオン伝導体):電子ではなくイオンが流れる材料

固体であってもイオンが流れることのできる物質が存在します.それどころか、物質によっては溶液よりも高いイオン伝導度を示します.このような材料は固体電解質(イオン伝導体、イオン導電体)と呼ばれ、化学センサや燃料電池、最近では全固体電池の材料と…

磁気抵抗と巨大磁気抵抗:磁場をかけると電気の流れやすさが変わる?

「磁気抵抗効果」とは、磁場をかけることで電気抵抗が変化する現象であり、通常は磁界の二乗に比例して電気抵抗が変化します.磁気抵抗効果は、磁気ディスクからの読み出しヘッドや磁気センサーなどに利用されています.

青色発光ダイオード:青色を発することの意義とは

太陽光、炎、白熱電球、蛍光灯を人類は光源として活用してきましたが、ここに発光ダイオード(LED)が新しい光源として加わりました.発光ダイオード自体は20世紀前半に発明されたものですが、当時のLEDは赤色や黄色の光しか発する事ができません.白色光を…

発光ダイオード(LED):人類の到達した第四の光源

第四の明かりである「発光ダイオード(LED)」が普及したのは最近になってからのような印象ですが、その歴史は意外に古く、20世紀前半にはLEDの元型が発明されています.LEDは寿命が長く、低消費電力で、耐衝撃性に優れ、大量生産に適しているという多彩なメ…

ダイオード:電子の「一方通行」を実現する

エレクトロニクスでは様々な機能のある微小なパーツを組み合わせて回路を構成します.ダイオードは代表的な電子素子であり整流作用(電流を一方向にしか流さない性質)を示します.ダイオードは、交流を直流に変換するコンバータ、電流の逆流防止、過電圧か…

pn接合:電子を使いこなす第一歩

n型とp型の半導体を組み合わせることで全く新しい機能性が生まれます.その機能の一つがpn接合による整流作用です.電流が行きは進めても戻れなくなるため、交流・直流の変換も可能です.

マンガンは超伝導と相性が悪い?:超伝導を起こす金属と起こさない金属の違いは何か

マンガン(Mn).第四周期の遷移金属であり、マンガン電池や二酸化マンガン(触媒材料)で有名な元素です.周期表前後の元素を含む化合物では超伝導体が知られているにも関わらず、マンガンが電子伝導を担う物質で常圧で超伝導を示す物質は知られていません.

“Absence of superconductivity”の一覧:なぜ超伝導が出ないことが面白いのか

新しい超伝導体の報告は喜ばしいものであり、多くの物理学者の関心を引きます.しかし、中には“Absence of superconductivity in …”と、超伝導が出ないことが題名で主張している論文があります.超伝導が出ないことの何が面白いのでしょう.「超伝導が出ない…

ペロブスカイト太陽電池:新世代の太陽電池は何が画期的なのか

ペロブスカイト太陽電池は2010年代から研究が活発化している、全く新しいタイプの太陽電池です.低温・塗布で作成可能にも関わらず変換効率が高く、新時代の太陽電池と目されています.世界中で基礎・応用問わず研究の一大ムーブメントが起きており、連日数…

色素増感太陽電池:化学と物理をつなぐ湿式太陽電池

シリコン太陽電池に代わる太陽電池を目指して、開発研究が進められています.色素増感型太陽電池は、シリコン太陽電池とは大きく異なる発電メカニズムに基づきます.化学反応を利用し、安価・簡便な製造が可能ですが、安定性や発電効率にはまだ課題が残され…

太陽電池:太陽による発電の仕組みと歩み

現代文明で、最も太陽エネルギーを生かした装置といえば太陽電池です.有害な排出物なしに、置いておくだけで発電が可能な太陽電池は持続可能なエネルギー供給源としての注目がますます高まっています.現代に至るまで太陽電池の性能は改善され続け、変換効…

常誘電体、強誘電体、圧電体、焦電体…:様々な誘電体とその特徴

絶縁体では電子は全て原子核の周りに束縛されており自由には動けません.しかし、ある程度は動く余地があり、ごく小さな電荷のズレが生じます.これらの変位の一つ一つのズレは小さいですが、マクロなスケールでは大きな効果として現れます.

熱電効果:排熱を電気エネルギーに変える

熱電材料と呼ばれる物質に熱(温度差)を与えると,高温部と低温部の間に電位差(電圧)が生じ、熱を直接、電気エネルギーに変換する事が可能です.事実上無尽蔵の熱エネルギーを、扱いやすい電気エネルギーに変換できる技術として期待されています.

半導体とドーピング:電気を自由自在に制御できる材料

半導体が絶縁体と区別される点、それは不純物の添加(ドーピング)によって電気特性を劇的に変化させることが可能な点です.ドーピングにより、半導体は「電気の流れる状態」「電気の流れない状態」を自在に切り替えることが可能となります.

金属(導体)と絶縁体と半導体の違い:エネルギーバンドと電子の動き

物質を分類する方法は多岐にわたりますが、一つの方法は電気抵抗の大きさで区分することです.電気抵抗率の大きい物質を絶縁体と呼び、電気抵抗の小さい物質を金属と呼びます.

超伝導:電気抵抗がゼロな材料

極低温で金属の電気抵抗はゼロに近づく、あるいは無限大に発散すると思われたのですが、そのどちらでもない現象が起きました.ある温度で、突然電気抵抗が「ゼロ」になったのです.「超伝導」の発見です.