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脱アカデミアへの道~転職エージェントをうまく使え~

転職エージェントを使おう

いざアカデミアから出て民間就職をしようと思っても何から手を付ければいいかが分かりません.新卒就活を体験していない人にとっては、まず「転職ってどうやるの」状態かと思います.

公募している企業とポジションを見つけて応募するという点ではアカデミアの転職と変わりませんが、民間での転職では転職エージェントという強力な武器を使用できます.慣れないうちは転職エージェントを頼るのが良いと思います.

転職エージェントとは、あなたの転職活動を支援してくれるサービスです.あなたに専属のエージェントが一人配置され、あなたにあった求人の紹介や、企業との手続きの代行、日程調整、面接練習などをしてくれます.転職活動において非常に頼りになる存在です.

転職エージェントは無料で利用できます.あなたが転職に成功した際に転職先の企業から成功報酬が支払われるビジネスモデルなので、求職者に支払いを求めることはありません.無料で使えるのだから徹底的に使い倒すのがおすすめです.

1.アカデミア就職と民間就職の違い編

2.転職エージェントを活用しよう編(今ココ)

3.どのように転職活動を行うか編

4.実際の面接でどのようなことを聞かれるのか編

転職エージェントのメリットとデメリット

転職エージェントは、完全に無料で使用できます.あなたが転職に成功すれば、転職先の企業から報酬がエージェントに支払われる仕組みです.報酬は転職先の年収に依存するので、エージェント側もできるだけ年収の高い求人に内定を出させることにモチベーションが生まれます.

転職エージェントは、1対1の面談で転職の相談、適した求人の選定、書類の添削、応募の代行、日程調整、面接対策、内定後の手続きまで行ってくれます.これが無料で行えるのは求職者にとっては破格であり、利用には大いにメリットがあります.

主なメリット、デメリットを以下に挙げます.

(メリット) ・転職の相談に乗ってくれる
・おすすめの求人を紹介してくれる
・応募書類を添削してくれる
・求職者に代わって面接の日程調整をしてくれる
・面接の対策や模擬面接をしてくれる
・内定後の手続きも面倒を見てくれる
(デメリット)  ・エージェントによって質の差が著しい
・望まない求人を紹介される
・入社を急かされる

エージェントを利用する前に

日本には無数の転職エージェントが存在しますが、どのエージェントを利用すれば良いでしょうか.エージェントを利用する前に、スカウト型のサービスに登録しておくことをおすすめします.

スカウト型のサービスとは、自分のプロフィールを掲載しておくことで、求職者を探すヘッドハンターや企業側の人事からスカウトされるようなサービスです.CMで有名なビズリーチが代表的です.

このサービスでは履歴書だけを掲載しておけばよく、エージェントとの個人的なやりとりをする必要がありません.転職をまだする気がなくても登録だけしておけばスカウトが来る(かもしれない)ので、とりあえず登録しておくことをおすすめします.

アカデミア向けにはLinkedinが役割的に近く、こちらは既に利用している研究者も多いかと思います.

登録後すぐにスカウトが来る場合もありますが、必ずしもそうなるとは限りません.登録は基本無料ですので、気長に待ち続けましょう.自分が想像もしていなかった企業と繋がりが持てるのが最大のメリットです.

企業の人から直接スカウトが来る場合もあれば、ヘッドハンターからおすすめの企業の紹介が来る場合もあります.前者であればチャンスですが、特別なスカウトであっても普通に落ちます.あしからず.しかし、少なくとも企業から見てあなたの経歴が魅力的に見えたわけではあるので、自分の市場価値を知るきっかけになります.

転職の流れ

エージェントを利用すると、一般的に以下のような流れで転職活動を行うことになります.

・転職エージェントに登録
・専属のエージェントが選定され、最初の面談
・応募先企業の選定、応募
・面接対策、面接
・内定
・退職交渉
・退職、新しい職場へ

まず、エージェントに登録しましょう.おすすめのエージェントは次節で紹介します.

どのエージェントにおいても、Webページから登録前に基本的なプロフィールや職務経歴などを埋めていく必要があります.これはかなりめんどくさいです.

登録する前に嫌になってエージェントの利用をやめてしまう人もいるようですが、どちらにせよ転職活動で必要になるのでなんとかして埋めましょう.全てを完璧に埋めなくても登録はできます.

登録が済むと、専属のエージェントが選定されて面談をすることになります.オンラインででき、エージェントによっては土日も対応してくれるので便利です.

面談では、転職理由や志望業界などを掘り下げられ、転職の場にふさわしいようにブラッシュアップしてくれます.その後、経歴とスキルに沿って求人の紹介をされ、求職者が求人を選んで応募を行います.無事に書類選考が通過したら、面接対策を行い、面接に臨みます.

転職エージェントには2種類ある…?

転職エージェントの種類は非常に多いですが、大きく2種類に分かれると思っています.1つは総合エージェントであり、求人数が多く、求職者の職種を限定せず、素早く転職が可能という特徴を持ちます.もう一方は特化型エージェントであり、大衆型よりは規模や求人数で劣りますが、その分専門に特化しており、求職者に沿ったサービスを展開しているエージェントです.

前者の代表がリクルートエージェントやDoDaなどCMでも有名なエージェントであり、後者にはJAC Recruitmentやアカリクキャリアなどがあります.

筆者はどちらの種類のエージェントも利用したことがありますが、一長一短かなと思います.一方で、脱アカデミアをしようとする人材は、どちらかと言えば特殊な存在ということもあり、特化エージェントを使用するメリットのほうが大きいのかなと思いました.

総合エージェント

総合エージェントの最大のメリットは求人数の多さ圧倒的なスピード感です.

リクルートエージェントやDoDaといった最大手は業界内でも最大級の求人数があり、世の中にある仕事の大半はここで見つかると言ってもいいでしょう.三ヶ月以内での転職を目安にしているところが多く、最初の面談から応募、面接対策、退職交渉までスピード感を持って対応してくれます.

私が利用したことのある総合エージェントはリクルートエージェントとDoDaです.CMなどでもよく見かけますし、最も有名なエージェントと言っても過言ではないでしょう.実際、業界ナンバー1の規模を誇ります.求職者の数、エージェントの数、求人数ともに圧倒的であり、まず登録しておいて間違いはありません.

非常に規模が大きいエージェントということもあり、面接のテクニックや退職の流れなどの情報も体系化されており、間違いなくスムーズに転職活動を行えます.

一方、玉石混交の様々な求職者がいる関係で、必ずしも自身の専門に沿ったエージェントが配置されるとは限りません.エージェントの質も様々です.自身の研究分野や大学教員という職の事情に明るいエージェントが配置される可能性は絶望的と思ってください.

私の担当であった方も、特に研究者に詳しいという感じではありませんでした.紹介される求人も必ずしも自身の専門に沿ったものばかりではないので、必ず自身で求人を探して選択することが大切です.

また、大量の求職者がいる関係上、右から左へ大量の求職者をどこかへ就職させることが至上命題のようで、必ずしも希望の職種を勧められるとは限りません.とにかく多くの求人に応募してとやや圧力を感じることもありました.エージェントからすればとにかくどこかへ就職してもらえば良いわけであり、内定の出た求人の良さをこれでもかと力説されます.

場合によっては、的はずれな求人ばかり紹介される上に、そうした求人への応募を急かされ、結果として不本意な職に就いてしまうリスクもあります.

メリットとデメリットの両面はありますが、業界最大手であり求人数も豊富であることからとりあえずでも登録することをおすすめします.

とかく短期間で転職活動を行いたい人には特におすすめです.急いでいないという人であっても、登録するだけしてしばらくは求人を眺めているだけでも問題はないです.

特化エージェント

特化エージェントに必ずしも明確な定義はないようですが、ここでは求職者の属性をある程度限定して厳選した求人への就職を目指すエージェントのこととします.例えば、ハイクラス転職が売りのJAC Recruitmentや、アカデミアからの転職に特化したアカリクキャリアなどがあります.

共通することは、総合エージェントよりは求人数が少なめであるという点です.しかし、その分求人は厳選されており、エージェントごとの得意とする分野では無類の強さを発揮します.研究職のようにやることが明確でハイキャリアになりやすい分野では、総合エージェントに比べて特に求人数で不利にはならないように思います.自分の行きたい業界がある程度絞られているのであれば、特化エージェントは大きな強みになると思います.

特化エージェントの例

総合エージェントでは求職者担当のエージェントと企業担当のエージェントの2種類がいて、基本的には求職者担当のエージェントと打ち合わせを行います.一方、特化エージェントでは求職者の担当と企業の担当を同じ人間が行います(エージェントの種類にもよりますが).

具体的には、A社担当のエージェントやB社担当のエージェントなどが企業ごとにいて、その人たちが求職者を直接サポートします.当然、A社担当のエージェントはA社の求人のみを紹介してきます.

総合エージェントと比べるとメリットとデメリットがあると思います.

総合エージェントではエージェントが求職者一人に一人配置されるため、あらゆる面倒を見てくれます.どこかへ転職してくれれば良いため、例えば複数の企業に内定を得た場合は客観的な目でどこがおすすめかを考えてくれると思います(大抵、最も年収の高い企業をおすすめされるでしょうが).

一方、どこかの企業の情報に特化しているわけではないため、企業ごとの選考の対策というのは期待できず、一般的な転職の方法についてのアドバイスにとどまります.

JACでは企業ごとにエージェントが割り振られている関係上、各エージェントがその企業のスペシャリストであるため、企業ごとの想定質問や面接対策を立ててくれます.ある企業を狙い撃ちにしたい場合であれば、合格率が上がるように思います.また、専門性についてもある程度優位があるようで、博士や大学研究員についても理解があるエージェントが多かったです.

一方、各エージェントは当然、担当としている企業に就職してもらいたいため、企業の客観的な評価という観点ではやや気を使う必要があります.A社とB社の両方に内定が出た場合、それぞれ担当エージェントが異なる場合、それぞれが自身の担当の企業をおすすめするでしょうから、どちらが良いかを自身で見極める必要があります.

また、専属のエージェントからとりあえず何らかの求人を紹介してくれる総合エージェントとは異なり、場合によっては条件に合う求人が見つからず、誰からも求人を紹介されない場合もあります.ハイクラスを謳っているエージェントなだけあって、ある程度の年収がないと相手にされないということもありそうです.

デメリットもありますが、特に専門的な話ができる関係上、アカデミア出身者との相性は良いように思います.個人的にはおすすめです.

いざ転職へ

以上のように、総合型・特化型のエージェント双方にメリットとデメリットがあります.どちらが良いかは好みによりますが、どうせ利用は無料であるので、ひとまずどちらのエージェントも最低1種類ずつぐらいは利用してみてから判断すればよいと思います.

エージェント一つだけの利用はリスクヘッジの観点からおすすめできませんが、あまりに多く登録してもやり取りが大変です.2~3箇所くらいで同時並行でやっていくのがベストでしょうか.

どうしてもマッチするエージェントが見つけられなかった場合は、転職エージェントとのマッチングサイトを利用するのも一つの手です.

次回は、アカデミアから民間への転職が具体的にどのような流れで行われるのかを見ていきます.