はじめよう固体の科学

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電池の理論容量の計算方法 【メモ】

電池の理論容量

電池の電極材料の容量には限界があります.この限界値、理論容量を超えるエネルギーを蓄えることはできません.無論、必ずしも理論値に達することができるわけではありませんが、限界を知っておくことは材料設計の上で役立ちます.

今回は、電極材料の理論容量の求め方を見ていきます.

電池

コバルト酸リチウムの理論容量

理論容量の単位は mAh/gで表されることが多く、例えばリチウムイオン電池の正極として有名なコバルト酸リチウムの理論容量は 274 mAh/gです.

[理論容量] = Q × N × M

  Q :  1 mol あたりの電子が運ぶ電荷量

  N : 反応にかかわる電子の数

  M : 電極材料 1 g あたりのモル数

1 mol あたりの電子が運ぶ電荷量はファラデー定数 F = 96500 C に時間を乗じたもの で、理論容量の単位が一時間あたり (h) で与えられていることに注意すると、

  Q = 96500 / 3600 A h 

コバルト酸リチウムでは単位式当たり一つのリチウムが抜ける (\rm{LiCoO_2 → CoO_2}) ため

    N = 1

電極材料 1 mol あたりの重さ、すなわち式量は 97.87 g/mol

よって [理論容量] = 96500 / 3600 × 1 / 97.87 = 0.274 Ah/g = 274 mAh/g と導けました.

様々な電極材料の理論容量

ついでに、他の代表的な電極材料についても計算を行ってみましょう.

リチウムマンガン酸化物 (\rm{LiMn_2O_4})の場合、

    N = 1、M = 180.81

 より、[理論容量] = 148 mAh/g

リチウム鉄リン酸塩(\rm{LiFePO_4})

    N = 1、M = 157.76

より、[理論容量] = 170 mAh/g

これに密度 ρ (g/cm3) をかければ体積あたりの理論容量も求めることができます.

たくさんリチウムを脱離できて、なるべく軽い元素から構成されているものが望ましいようです.