強磁性体の飽和磁束密度の単位変換
磁石として用いる強磁性体は一定以上の磁場をかけると飽和し、それ以上磁化が大きくなりません.この飽和磁束密度の値は、磁性材料の特性を規定する極めて重要なパラメータです.重要なのですが、磁性学では様々な単位系が混ざって使われているようで、文献によって単位が異なることもしばしば.これでは比較するときに面倒です.
今回は、飽和磁束密度の単位として使われる emu/g, emu/cc, T などの単位の互いの変換方法を見ていきます.
SI単位系が当たり前になって久しいですが、磁性学では未だに MKSA 単位系よりもさらに古いCGS単位系が使われ続けています.
CGS単位系では、磁束密度 (G)、磁場 (Oe)、磁化 (emu/cc)といった単位が使われますが、
1 emu/cc = 4π G
および
10000 G = 1 T
の関係より
1 emu/cc = 4π × 10-4 T
密度 (g/cc)を用いれば、emu/g 単位にも変換できます.
例えば、鉄は飽和磁束密度が 217.9 emu/g ですが、密度が 7.874g/cc であることと上記の関係式を使うと、
217.9 × 7.874 × 4π × 10-4 ~ 2.2 T
コバルト (飽和磁束密度 162.7 emu/g、密度 8.90 g/cc)では、
162.7 × 8.90 × 4π × 10-4 ~ 1.8 T
ニッケル (飽和磁束密度 57.5 emu/g、密度 8.91 g/cc)では、
57.5 × 8.91 × 4π × 10-4 ~ 0.64 T
となります.
リンク