はじめよう固体の科学

電池、磁石、半導体など固体にまつわる話をします

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ルチル構造:「赤」を意味する結晶構造

ルチルとは二酸化チタン(TiO2)からなる酸化物鉱物の一種です.ルチルの結晶構造をルチル構造と呼び、AB2の組成を持つ二元系物質でよく見られます.

二酸化チタン(TiO2):原点にして頂点の光触媒材料

1972年、酸化チタンと白金からなるセルに紫外光を照射すると、水が水素と酸素に分解される現象が報告されました.光触媒の仲間が増えてなお、TiO2は光触媒の代表として君臨しています.安価、安定、無毒であり、産業的に利用する上でのメリットが大きいです.

強磁性体:磁石になる物質とならない物質の違い

強磁性体は磁場に引き付けられ、磁石を引き付けるような性質を持つ物質です.しかし、鉄釘は強磁性体の一種であり磁石に引き付けられますが、鉄釘が鉄釘を引き付けることはありません.とすれば、強磁性体とは一体何なのでしょうか.

水素吸蔵合金:水素を貯める仕組みと利用法

水素吸蔵合金は、その名の通り水素の吸蔵が可能な合金材料であり、輸送・貯蔵の簡易さから注目を集めています.材料によっては、自身の体積の1000倍もの水素を吸うことができます.

“Absence of superconductivity”の一覧:なぜ超伝導が出ないことが面白いのか

新しい超伝導体の報告は喜ばしいものであり、多くの物理学者の関心を引きます.しかし、中には“Absence of superconductivity in …”と、超伝導が出ないことが題名で主張している論文があります.超伝導が出ないことの何が面白いのでしょう.「超伝導が出ない…

ペロブスカイト太陽電池:新世代の太陽電池は何が画期的なのか

ペロブスカイト太陽電池は2010年代から研究が活発化している、全く新しいタイプの太陽電池です.低温・塗布で作成可能にも関わらず変換効率が高く、新時代の太陽電池と目されています.世界中で基礎・応用問わず研究の一大ムーブメントが起きており、連日数…

色素増感太陽電池:化学と物理をつなぐ湿式太陽電池

シリコン太陽電池に代わる太陽電池を目指して、開発研究が進められています.色素増感型太陽電池は、シリコン太陽電池とは大きく異なる発電メカニズムに基づきます.化学反応を利用し、安価・簡便な製造が可能ですが、安定性や発電効率にはまだ課題が残され…

太陽光のエネルギーとスペクトル

化石燃料からの脱却が必要とされる現代では、事実上無尽蔵の太陽光は非常に魅力的なエネルギー源であり、太陽光の数%のエネルギーでも有効に活用できれば、化石燃料の心配のいらない世界が実現するかもしれません.我々の世界には太陽光発電をはじめとして…

マーデルング定数とマーデルングエネルギー:イオン結晶の安定性とその応用

イオン結晶中の静電エネルギーを計算したものが、今回の主題であるマーデルング定数です.マーデルング定数の計算では、あるイオンの周りにあるイオンによる静電エネルギーを全て足し合わせることによって構造の安定性を判断します.

三角格子、カゴメ格子、ハニカム格子.... :様々な磁気格子と磁気フラストレーション

世の中には、正方格子や三角格子だけでなく、多種多様な格子が考案され、現実の物質で実現しています.単純な磁気秩序だけではなく,時として量子スピン液体、スピンアイス、スピングラスなど時にエキゾチックな磁気物性の舞台となることが知られています.…

サマコバ磁石:かつての最強磁石

希土類磁石は、希土類元素と遷移金属元素の合金(あるいは金属間化合物)磁石と定義され、しばらく新材料の途切れていた磁石業界復権の鍵となりました.サマコバ磁石は、最初に発見された実用的な希土類磁石です.

ポーリングの規則:結晶構造が成り立つためのルールとその現実

イオン結合性の物質において、どのような結晶構造が実現するか、あるいは実現しないかを明示した5つの経験則をポーリングの原理と呼びます.ポーリングの原理では、結晶構造中でカチオン(アニオン)がどのような局所構造にあるかを規定します.