はじめよう固体の科学

電池、磁石、半導体など固体にまつわる話をします

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ホール効果:電流と磁場とキャリアの関係

導体に電場をかけると電流が流れます.ここに磁場をかけるとキャリアの経路が曲がり、電荷が導体の一方の面に集まります.この際、導体の一方の面にはキャリアと同じ電荷が集まり、もう一方の面ではキャリアが不足してキャリアと反対の電荷が現れます.

酸水素化物:水素アニオンを取り込んだ新しいセラミックス

一つの物質中に酸素アニオンと水素アニオンの両方のアニオンを含む物質が数多く知られ、酸水素化物と呼ばれます.安定な酸化物と不安定な水素化物を組み合わせた物質はどのような性質を示すのでしょうか.

ヒドリド(Hydride):水素の陰イオンとその高い反応性

水素は、最もありふれた元素でありながら非常に特殊な元素でもあり、正と負のいずれの電荷の状態をとることができます.陰イオン(アニオン)となった水素をヒドリド(Hydride)と呼び、強い還元力、強い塩基性、高い圧縮性を示します.

グラフェン:世界一薄い究極の二次元材料

グラフェンは、炭素原子がハニカム状の二次元層を組んだ、原子一層分の厚みしか無い究極の二次元材料です.革新的な材料であるにも関わらず、黒鉛(グラファイト)をセロテープで剥がすという冗談のような方法で製造されました.

孤立電子対(非共有電子対):直接結合しなくても、物質を変える

孤立電子対(非共有電子対)は、目には見えませんが分子の形状や水素結合の形成を通じてその存在をアピールしてきます.孤立電子対の役割は構造を歪ませるだけではなく、様々な物性に顔を出します.

スピネル構造:複雑な構造と多様な物性

スピネルとは、マグネシウム(Mg)とアルミニウム(Al)からなる酸化物の天然鉱物であり、MgAl2O4の組成で表されます.スピネルの結晶構造をスピネル構造とよび、AB2O4の組成を持つ三元系物質でよく見られます.酸化物だけではなく、硫化物や窒化物でもスピ…

ハイエントロピー合金:全く新しい合金材料

これまでの合金はメインとなる元素を決めていましたが、ハイエントロピー合金では主役を定めず、複数の元素を比較的高濃度(多くは等濃度)で混合します.ハイエントロピー合金は、従来の合金よりも強度に優れるとされるほか、従来の合金では見られない様々…

固体における仕事関数、イオン化エネルギーと電子親和力の関係

半導体はバンドギャップで区分されますが、伝導バンド・価電子バンドの相対位置も同じくらい重要です.電池の電極材料や太陽電池などでもバンド位置は常に意識されます.

仕事関数:物質から電子を剥がすために必要なエネルギー

仕事関数は「バルク材料(固体または液体)」の電子を一つ取り除くのに必要なエネルギー量」を意味します.仕事関数の大小によって物質の反応性や安定性を評価することが可能になります.

イオン化エネルギーと電子親和力:そもそもどうやって測定するの?

イオン化エネルギーと電子親和力はは決して教科書の中だけの存在ではなく、物質の性質を予想するなど実用的な面を持った極めて基礎的なパラメータです.

リチウムイオン電池の負極材料:金属リチウムの代わりを見つけよう

負極は二次電池にとって重要な要素であり、電池全体の性能に大きな影響を与えます.新しい負極材料の開発では、これらの容量低下要因を抑制し、安全性・安定性・サイクル特性に優れた材料を選定する必要があります.

リチウムイオン電池の正極材料:インターカレーションと金属酸化物

リチウムイオン電池はのエネルギー密度に影響を与えているのが正極材料です.現在、正極材料として使用されている材料は主として金属酸化物であり、大きく3種類のグループに分けられます.

リチウムイオン電池:現代社会を支える最強の電池

リチウムイオン電池は高いエネルギー密度、高い電圧、長寿命、高安定性を併せ持ち、従来の二次電池とは一線を画します.リチウムイオン電池はある一つの大発明から生まれたわけではなく、多くの人が関わり築き上げたものを合体させることで可能になった、人…

ヤーン・テラー効果:電子数と配位の歪み

金属の配位構造において、金属イオンがある特定の数のd電子を持つ場合にのみ特異的に多面体が歪む場合があります.このような現象の一つがヤーン・テラー効果(Jahn–Teller effect)です.

結晶場理論と配位子場理論

d電子は金属イオンの種類によって数が異なり、全部で5つの軌道に収納されます.配位子のない状態では5つの軌道は互いにエネルギーが等しい(縮退している)ですが、それぞれ軌道の広がる方向が異なるため、配位子があるとエネルギーにズレが生じて状態が…

無料で読める学術誌:誰でも最先端の研究に触れられる!

世の中にはオープンアクセス論文というものがあります.オープンアクセス論文はいつでも誰でも無料で読むことができます.今回は、固体科学分野のうち、特に質の高いオープンアクセス論文誌を紹介します.

閃亜鉛鉱型構造とウルツ鉱型構造:半導体を支える結晶構造

閃亜鉛鉱型構造とウルツ鉱型構造は、ABの組成で表される二元系物質の多くで見られる結晶構造であり、互いによく似た構造です.どちらも半導体材料でよく見られる構造であり、知らず知らずのうちにどちらかの構造を持つ材料を日常的に使用しているはずです.

太陽電池:太陽による発電の仕組みと歩み

現代文明で、最も太陽エネルギーを生かした装置といえば太陽電池です.有害な排出物なしに、置いておくだけで発電が可能な太陽電池は持続可能なエネルギー供給源としての注目がますます高まっています.現代に至るまで太陽電池の性能は改善され続け、変換効…

常誘電体、強誘電体、圧電体、焦電体…:様々な誘電体とその特徴

絶縁体では電子は全て原子核の周りに束縛されており自由には動けません.しかし、ある程度は動く余地があり、ごく小さな電荷のズレが生じます.これらの変位の一つ一つのズレは小さいですが、マクロなスケールでは大きな効果として現れます.

ニッケルカドミウム電池:かつての充電池

ニッケル・カドミウム電池(ニッカド電池)は鉛蓄電池に続く二次電池であり、最近まで家庭用二次電池の代表の座にいました.ニッケル水素電池やリチウムイオン電池の普及とともに姿を見かける機会は減りましたが、いまなお然るべき分野では現役の電池です.

ニッケル水素電池:電池に水素吸蔵合金を使うという発想

ニッケル水素電池はエネルギー密度と安全性に優れ、リチウムイオン電池が登場するまで二次電池の主役であり続けました.構成はニッカド電池と非常によく似ていますが、カドミウムの代わりに水素吸蔵合金を使用しているという特徴があります.

アルカリ電池とマンガン電池:最も実用的な乾電池の系譜

マンガン電池とアルカリ電池は、両者とも亜鉛と酸化マンガンを用い、起電力も殆ど同じです.マンガン電池はすぐに電源が切れますが、アルカリ電池はマンガン電池の数倍の寿命があります.どのようにしてアルカリ電池が勝利をつかんだのでしょう.

水の電気分解:夢のエネルギー材料「水素」のクリーンな合成法

水に諸々の工夫をして電圧をかけると、水素と酸素が発生します.発生する物質が水素と酸素だけなので環境への害がありません.クリーンかつ温和な条件で水素を合成できる方法として注目されています.

熱電効果:排熱を電気エネルギーに変える

熱電材料と呼ばれる物質に熱(温度差)を与えると,高温部と低温部の間に電位差(電圧)が生じ、熱を直接、電気エネルギーに変換する事が可能です.事実上無尽蔵の熱エネルギーを、扱いやすい電気エネルギーに変換できる技術として期待されています.

蛍石型構造:イオン伝導がよく見られる基本的な結晶構造

蛍石型構造はAB2 の組成で表される結晶構造であり、多くの物質において見られます.イオン伝導を示す物質の多さが目立ちます.

配位構造と連結:結晶構造ができるまで

どんな複雑な結晶構造でも、一つ一つのパーツを見ればシンプルな形をしていることが多いです.多面体とその連結を考えることで、大多数の結晶構造も理解できます.

ミラー指数とX線の回折

ミラー指数は、単位胞の中における「方向」や「面」を記述する方法です.ミラー指数を定義しておくことにより、単位胞の「どこ」の話をしているかが一目で分かるようになります.

永久磁石:ずっと磁力が出るのは何故

永久磁石は強磁性体の中でも硬磁性体に分類され、磁化を反転させるのに必要な磁場(保磁力)が大きいこと、ゼロ磁場でも大きな残留磁化を持つことが特徴です.それゆえ、永久磁石は長期間に渡って大きな磁化を保持することが可能です.

半導体とドーピング:電気を自由自在に制御できる材料

半導体が絶縁体と区別される点、それは不純物の添加(ドーピング)によって電気特性を劇的に変化させることが可能な点です.ドーピングにより、半導体は「電気の流れる状態」「電気の流れない状態」を自在に切り替えることが可能となります.

燃料電池:水素と酸素を直接電気に変換する技術

燃料電池は、分子の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換できるエネルギー変換装置です.燃料電池は、クリーンかつ高効率な発電を可能にし、家庭用・車載用への応用を目されるなど次世代のエネルギーとして注目されています.