はじめよう固体の科学

電池、磁石、半導体など固体にまつわる話をします

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物質

ベント則:VSEPR則の限界を超えて分子の形を予測する(2)

ベント則を利用して、実際の分子の形をどのように理解可能かを見ていきます.

ベント則:VSEPR則の限界を超えて分子の形を予測する(1)

VSEPR則は、原子軌道や対称性を考慮しておらず、孤立電子対と結合電子対の違いを説明することができません.これらの問題点を解消するため、代わって発達した理論が今回紹介するベント則です.

イルメナイト:コランダムとペロブスカイトをつなぐもの

イルメナイトとはチタンと鉄を含む鉱物の一種であり、金属チタン(Ti)や二酸化チタン(TiO2)の主要な原料として幅広く活用されています.

化学圧力:物理圧力とは異なる「化学的な圧力」の正体

化学圧力では、物質の組成や形態を制御する「化学的な手段」で物質内部に擬似的な圧力を与えます.物理圧力と違って高価な装置なしに簡便に実験が可能なほか、正・負の両方の圧力(物質の圧縮と膨張)をかけることが可能であり、物質を扱う広範な研究領域で…

窒化ガリウム(GaN):革新的な半導体

窒化ガリウムは電子の移動度が大きく、熱安定性が高く、エネルギー効率が高いなどのメリットを併せ持つため、電力変換などのパワーエレクトロニクス分野での利用が広がっています.

アナターゼ、ブルッカイト、ルチルの違い

酸化チタンには、いくつかの種類(多形)が知られています.結晶構造の違いに応じて、三種類の呼び名があり、それぞれアナターゼ、ブルッカイト、ルチルと呼ばれます.

CaAl2Si2型構造:熱電材料からトポロジカル磁性体まで

組成比が1:2:2の結晶構造として有名であるのがCaAl2Si2型構造です.伝統的に熱電材料として高い性能を示す物質が多く知られてきました.近年では、トポロジカル電子物性の舞台としても注目の結晶構造です.

ランタノイドとアクチノイド:周期表の縁の下の力持ち

周期表の最下部に佇む謎の元素たち.ランタノイドとアクチノイドと書かれてはいますが、それ以上の説明はなく、そのまま化学の授業は終わります.従来の化学教育では見過ごされがちですが、これらの元素には他の元素に負けないくらい有用で興味深い性質を示…

アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン:周期表の族の様々な呼び名

「アルカリ金属」「アルカリ土類金属」「ハロゲン」など、特定の族を示す呼び名は多くあり、同一の族に属する元素群はいずれも似たような性質を示します.

遷移金属ダイカルコゲナイド:三次元と二次元の両方の側面を持つ物質

層状構造を活かし、近年、原子一層だけを取り出すことが可能な二次元材料として期待されている物質群が遷移金属ダイカルコゲナイドです.

量子ドット:粒子を小さくすると起こる嬉しいこと

ナノ結晶が特異な光学的性質を示す要因は粒子サイズの減少による量子サイズ効果であるとされ、このような物理学的性質に着目した時のナノ粒子を量子ドットと呼びます.

不動態:その生成の仕組みと活用法

不動態とはなんでしょうか.「通常の金属が、当然示すはずである活性を失って、一見、貴金属(容易に化学的変化を受けない金属)であるかのように挙動する状態」とされ、不働態と呼ばれることもあります.

マグネタイト(Fe3O4, 磁鉄鉱):最古の磁石の結晶構造と機能

人類にはじめて見出されたとされる磁石がマグネタイト(磁鉄鉱)です.マグネタイトはFe3O4 の組成を持ちます.組成中に鉄を豊富に含むことから、金属鉄の原料としても知られます.

コランダム構造:ルビーとサファイアの結晶構造

コランダムとは酸化アルミニウム(アルミナ)の結晶であり、Al2O3の組成を持ちます.コランダム構造は、ルビーやサファイアの持つ結晶構造として非常に有名です.

カチオンとアニオン:イオンってなんだろう

中性の原子において、電子が増減することで原子核と電子の電荷のバランスが崩れて帯電し、イオンとなります.陽イオンと陰イオンは互いに逆の電荷を持つため、クーロン力によって互いに引き付け合います.

コバルト酸リチウム(LiCoO2):リチウムイオン電池の代表的な正極材料

LiCoO2が特に優れている点は、高いLi+伝導度および電子伝導度、高いエネルギー密度、優れた可逆的な充放電特性を示すことです.発見から30年以上が経過してなおLiCoO2は携帯用バッテリーの正極材料として使われ続けています.

ボルン・ハーバーサイクルと格子エネルギー:結晶の安定性を評価する

イオン結合性の物質を扱う際、その物質がどの程度安定であるかの指標が必要になる場合があります.この「イオン結合性の物質の安定性」を見積もる指標である格子エネルギーを算出する際に使用されるのがボルン・ハーバーサイクルです.

スクッテルダイト:原子の「隙間」を活かした物質

原子にとって自由に動き回れる程度に広い空間を持つ物質群の一つがスクッテルダイト(Skutterudite)です.元は天然鉱物に由来する物質群ですが、その特徴的な結晶構造・組成の豊富さから、現在では熱電材料、超伝導体、磁性体など様々な分野で顔を覗かせま…

水銀はなぜ液体か

なぜ水銀は液体なのでしょうか.水銀を初めて知った時に誰もが思い浮かぶ疑問ですが、答えはそれほど単純ではありません.原子や電子の世界にまで考えを及ぼすことではじめてその答えにたどり着きます.

ランタノイド収縮:その影響はランタノイドを超えて現れる

ランタノイド収縮とはランタノイドを小さくするだけでなく、ランタノイドに続く元素の原子半径まで縮めてしまうほどの強い影響力を持ちます.

遮蔽効果とスレーターの規則:電子が互いに影響を及ぼすとき

ある電子に働く原子核からのクーロン力が他の電子の存在によって弱められている状態を、遮蔽効果が働いていると表現します.遮蔽効果は、電子が複数あることによって起こる現象で、原子や分子の基礎物性や反応性の違いを非常にうまく説明することが可能です.

銅酸化物以前に高温超伝導体の候補とされていた物質:CuClとCdS

銅酸化物よりも前、高温超伝導体の候補として最も有力視されていた材料が塩化銅 (CuCl)です.高温超伝導体であるかどうかも分からないまま、その後の銅酸化物の発見によって歴史の闇に埋もれてしまいました.

多孔質材料:「何もない」空間を役立てる

隙間や空孔が多いと、「軽く」「表面積の大きい」材料となります.その分、強度は犠牲になるわけですが、前者のメリットの大きい分野ではスカスカな材料が好まれます.このように空孔が無数に含まれた機能材料を総称して多孔質材料と呼びます.

クラスレート:原子を包むカゴ型の物質

2種類以上の原子(または分子)が結晶を形成する際に、一方がホストとなって様々な多面体を含んだ三次元的な骨格構造を形成し、もう一方がゲストとしてその骨格に内包されたような結晶構造を持つ物質をクラスレート(Clathrate)と呼びます.ゲストは大きな…

ペロブスカイト型構造に関連する結晶構造

ペロブスカイトの結晶構造は非常に対称性の高い立方晶系をとっています.その堅牢な外見に反して、ペロブスカイトはとても柔軟に結晶構造を変化させることが出来るのです.

ThCr2Si2型構造:金属間化合物における機能の宝庫

金属間化合物において、まさしくスターと言える代表的な結晶構造として知られるのがThCr2Si2]型構造です.豊富な元素の組み合わせを持ち、高温超伝導体(や重い電子系物質、磁気冷凍材料などの極めて興味深い物性を示す材料も多くあります.

ジントル相:イオン結合とも共有結合とも金属結合とも異なる物質たち

ケテラーの三角形のうち、イオン結合と金属結合に位置する領域にZintl相があります.Zintl相の化合物は、イオン結合と金属結合の中間的な性質を示し、イオン結晶にも金属にも分類できません.半導体的な電気伝導を示し、融点が高く、セラミックス(酸化物絶…

金属ガラス:周期構造を持たない金属材料の秘密

ドロドロの溶融状態から超急冷することで得られるアモルファス金属は、既存の結晶性金属よりも強度に優れ靭やかであり、錆びにくく、磁気特性に優れるという大きな特徴がありました.さらに、加工性に優れる金属ガラスの発見により応用化が一気に進み、様々…

ラーベス相:単純な組成と多様な物性

Lavesは様々な金属間化合物の結晶学的関連性に関する重要な知見を発表しました.発見から100年近くが経ち、ラーベス相に属する物質は非常に多く発見され、優れた水素吸蔵特性、耐摩耗性、磁歪、磁気熱量効果を示すものがあり、実際に製品化されている材料も…

パイライト構造とマーカサイト構造:陰イオンの”二量体”を持つ結晶構造

パイライトとマーカサイトは、いずれも鉄の硫化物(FeS2)からなる鉱物です.パイライトは黄鉄鉱、マーカサイトは白鉄鉱とも呼ばれます.パイライト構造およびマーカサイト構造はいずれもS2ダイマーが構造中に含まれるという共通点があります.